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VRIJについて
日本ヴィパッサナー研究所(Vipassana Research Institute Japan 略称”VRIJ”)は、1985年に設立されたヴィパッサナー研究所(VRI)の日本支部として活動しています。主にヴィパッサナー研究所が発表する書籍や資料やホームページを日本語で紹介し、日本のみなさまがヴィパッサナー瞑想の理解を深める一助となることを願い、取り組みを続けています。
Vipassana Research Institute(VRI)とは
イントロダクション
ヴィパッサナー研究所(Vipassana Research Institute 略称"VRI")は、1985年に設立された非営利団体で、ヴィパッサナー瞑想技法の源泉と応用について科学的研究を主な目的としています。
ヴィパッサナー瞑想は、心身現象の観察と探求の技法です。この技法は心の清らかさを育み、個人の態度や行動に変容をもたらすとともに、社会全体にもよい影響を及ぼす可能性を秘めています。教育、健康、組織の運営、リーダーシップの育成、そして社会の健全な変革といった分野においても、ヴィパッサナーは世俗的な視点から国家の統合や国際的な理解の促進に貢献できるような可能性があります。この技法は、2,500年以上の時を経て再び現代に息を吹き返しました。
インドでは、1969年からヴィパッサナー瞑想のコースが始まりました。当初、この技法について理論的背景を深く探求するための独立した機関はありませんでした。S.N.ゴエンカ氏が、ヴィパッサナー瞑想の指導者として、ブッダがこの技法を体系的に説いた講話を中心としたサティパッターナ・スッタのコースを教え始めたことがきっかけとなって、このような研究機関の必要性が認識されました。
サティパッターナ・スッタのコースにおいて、ゴエンカ氏は、参加者がブッダの言葉(パリヤッティ)を学び、それを実践(パティパッティ)に結びつけることが、深い励ましとなっており、感謝の気持ちが生まれていることに気づきました。ブッダの言葉を学び、体験的に理解することは、理解と実践の双方がより確かなものになると感じました。さらに学問的な探究を望む方々も現れるようになり、学ぶ機会を提供するためにヴィパッサナー研究所が設立されました。
VRIは現在、ヴィパッサナー国際アカデミー(VIA)の隣に位置しています。VIAは、インドのマハラシュトラ州ムンバイ(Maharashtra,Mumbai)から約136kmのイガトプリー(Igatpuri)にあります。
研究所の主な活動は以下のとおりです。
- ティピタカ(三蔵、経典)の中のヴィパッサナーの源泉の探求
- パーリ語のコースの開催
- ヴィパッサナーの実生活への応用とその社会への影響に関する実践的研究
- ヴィパッサナーに関連する書籍やそのほかの啓発資料の出版
活動の詳細は以下のとおりです。
- ティピタカの中のヴィパッサナーの源泉の探求
- ティピタカおよび関連文献の出版
25世紀前、パーリ語は北インドの共通語であり、ブッダが教えを説いた方言でした。サンスクリット語がヒンドゥー教、ラテン語がカトリックの典礼言語であるように、パーリ語はブッダの教えが保たれる古典言語です。ティピタカは、パーリ語の文字通り「三つの籠」という意味で、ブッダの教えをパーリ語で書かれています。
残念ながら、インドではパーリ語の文献とヴィパッサナーの実践は失われました。しかし、パーリ語経典がインドの古代遺産として貴重なものと認識したインド政府は、第六回仏典結集(Chattha Sangayana)を経て、全パーリ文学をデーヴァナーガリー文字で出版することを決定しました。この事業は、ナーランダ大学に託されました。ティピタカの出版事業は、数多くの著名な学者たちの熱心な努力のもとに進められ、その結果、デーヴァナーガリー文字での出版が実現しました。しかしながら、その作業は遅れることもあり、現在ではティピタカの全巻が絶版となっています。そのため、今ではデーヴァナーガリー文字でブッダの教えの記録したこの文献は、その発祥の地で容易に手に入れることができなくなっています。
VRIは、全パーリ語経典とその関連する注釈書の出版の大事業に取り組みました。この事業はナーランダ大学の功績を補完するものでした。VRIはビルマ文字の第六回仏典結集版を正統で権威ある出版物と見なしました。インドや他国のパーリ語学者、多くの学識あるビク、ミャンマーの研究者が協力しました。その結果、デーヴァナーガリー文字で印刷されたティピタカと関連文献の正確な版が発表されました。
ティピタカのコンパクトディスク(CD)の作成
全パーリ文献のCD化は、VRIが取り組んだ功績の一つです。
VRIがデーヴァナーガリー文字で編纂された全パーリ語のティピタカは、デジタル化され、CD-ROM(コンパクトディスク読み取り専用メモリ)形式で出版されています。この形式で保存することにより、ブッダの教えという貴重な遺産を、長期にわたって安定的に保管し続けることが可能となりました。さらに、コンピュータ検索機能を活用することで、ティピタカの中から検索して語句や文を瞬時に見つけ出すことができるようになり、ブッダの言葉についての研究は、これまで以上に深く広がりをもって行えるようになっています。
デジタル化と検索エンジンの導入は、研究者にとっても、ヴィパッサナーの実践者にとっても、大きな可能性をひらくものであり、関連する語句や概念を網羅的に整理する索引の作成も、可能となっています。
VRIが製作したCD-ROMには、パーリ語をデーヴァナーガリー文字からローマ字またはビルマ文字に自動的に変換するカスタム開発されたコンピュータソフトウェアも含まれています。これは、ブッダの原文に関心のある人々にとって非常に価値があります。
パーリ語学習プログラム
ヴィパッサナー研究所(VRI)は、インド国内および海外からの参加者のために、集中居住型の基礎および上級パーリ語トレーニングの提供を同時に開始いたしました。ブッダの教えは、それを直接体験している者が研究することこそ、最もふさわしいとの認識のもと、VRIでは、S.N.ゴエンカ氏により伝えられているセヤドー・ウ・バ・キン氏(Sayagyi U Ba Khin)の伝統に深く献身している真摯なヴィパッサナー瞑想者のために、集中的な3か月間のパーリ語コースを提供しています。このプログラムは、ダンマ(自然の法)の理論であるパリヤッティと実践のパティパッティ、その両面において、卓越した学びの機会をもたらすものです。このコースを通じて、ブッダの教えが保持されているパーリ語に触れることができます。このクラスは、実際にダンマが実践されている瞑想センターの静謐な環境において実施されます。また、45日間のパーリ語、ヒンディー語コースと75日間のパーリ語、英語コースには、朝と夕方のグループ瞑想が義務づけられています。学問的アプローチと瞑想実践を融合したこの取り組みが、本プログラムをほかに類のないものとして際立たせています。
インド政府は、ヴィパッサナーの実践とパーリ語の教授のための唯一の機関として、この研究所を認定しており、理論的原則とヴィパッサナーの実践を統合しています。
1999年以降、ムンバイ大学哲学学科はVRIと協力して「ブッダの教え」コースを開始しました。このコースは基礎と上級ディプロマに分かれており、多くの人気を集めています。これらのコースは瞑想者、非瞑想者に開かれています。
日常生活におけるヴィパッサナーの応用とその社会への影響に関する実践的研究
a) 研究
パーリ語文献の研究に加えて、VRIはヴィパッサナー瞑想の個人的および対人的効果に関する研究を行っています。この研究には、心の制御と浄化、道徳的行動の改善、調和のとれた人格発達、および健康、教育、社会開発の分野におけるヴィパッサナーの応用の研究が含まれます。また、VRIは特に薬物依存者や刑務所の囚人に対するヴィパッサナーの利点についても研究しています。政府におけるヴィパッサナーの影響に関する研究も発表されています。これらの研究は、パーリ語文献に記載されている結論との文脈的比較を可能にします。
b) セミナー
VRIはヴィパッサナーの実践的な体験に適用するための研究のさまざまな側面に関する国際セミナーを主催します。セミナー論文の発表後に10日間のヴィパッサナーコースに参加する機会を提供し、この経験的側面は人気があって恩恵をもたらしています。瞑想の実践は、論文で提示された研究に光を当てる非常に具体的な方法です。参加者がセミナーで提示されたことを、実際に体験する機会として提供しています。
出版物
上記以外にも、VRIは世界中のヴィパッサナー瞑想者のためにさまざまな書籍やそのほかの資料を出版しています。
a) 書籍
当研究所は、ヴィパッサナーの指導者であるS.N.ゴエンカ氏およびほかの高位瞑想者による過去数十年にわたる講話に基づいて、さまざまな言語で貴重な書籍を出版しています。瞑想者および非瞑想者にとって、真のインスピレーションの源となります。
b) オーディオCD、ビデオCD、およびDVD
ゴエンカ氏の10日間コースやサティパッターナコース、そのほかの講話は、ブッダの教えに対する徹底的な研究にもとづく貴重な成果です。これらの講話に加え、日々の実践のためのグループ座禅指導、ヴィパッサナーに関連するドキュメンタリー作品、Zee TVのUrjaシリーズで特集された講演、さらにはヒンディー語および英語の紹介資料などは、当研究所によって提供されています。これらの資料は、社会におけるヴィパッサナーの普及に資するのみならず、コースに参加された方々が日常生活の中でヴィパッサナーの実践を持続するうえでのインスピレーションとしても役立つものです。
c) ヴィパッサナーニュースレター
VRIは、S.N.ゴエンカ氏およびそのほかの著者による記事のニュースレターを、さまざまな言語で毎月発行しています。ニュースレターは、ヴィパッサナーの実践者が継続的にインスピレーションを得るとともに、互いにつながりを保ち続ける手段としても大いに役立っています。
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