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वयधम्मा सङ्खारा, अप्पमादेन सम्पादेथ

Vayadhammā saṅkhārā, appamādena sampādetha

すべての現象は無常です たゆまず努め 成就しなさい

ヴィパッサナーとは

ヴィパッサナーイメージ

अत्तदीपा विहरथ अत्तसरणा अनञ्‍ञसरणा।धम्मदीपा विहरथ धम्मसरणा अनञ्‍ञसरणा।।​

Mahā-Parinibbāna Sutta Dīgha Nikāya

自分を島とし 自分を拠り所にせよ ほかに拠り所はない

真理を島とし 真理を拠り所にせよ ほかに拠り所はない​​​

マハー・パリニッバーナ経 長部経典第16経

はじめに

 ヴィパッサナーの技法は、心の平安を達成して幸せで有益な人生を送るためのシンプルで実践的な方法です。ヴィパッサナーとは「物事をありのままに見ること」を意味し、自己観察を通じて心を浄化する論理的なプロセスです。
 
 私たちは時折、心の動揺やフラストレーション、不調和を経験します。苦しいときに、自分だけにその苦しみを留めることなく、他人にも伝わってしまいます。そのため、悟りを得た人びとは「汝自身を知れ」と勧めました。これは単に自分を理解することや、感情的または信仰的に受け入れることを意味するのではなく、実際の体験を通して内面的に自分を知ることを意味しています。この目的を達成するために、2,500年以上前にヴィパッサナー瞑想の技法が、普遍的な問題に対する解決法としてインドで教えられました。
 
 ヴィパッサナーは、心を浄化し、苦しみとその深い根源から解放することによって、私たちに平和と調和を体験させてくれます。この実践を段階的に進めることで、心の汚れから完全に解放されるという最高の精神的な目標を目指すことができます。
 
 ダンマ(自然の法)の道は、生き方の技法であり、特定の宗教や宗派と関わるものではありません。そのため、人種、地域社会、宗教に関係なく、誰もがいつでもどこでも自由に実践できて、誰もが平等に恩恵を享受できます。


ヴィパッサナーの歴史的背景

 ヴィパッサナーは、インド最古の瞑想技法の一つであり、2,500年前、ゴータマ・ブッダによって再発見されました。ブッダの45年間にわたる教えの中で実践と伝承されたこの技法は、ブッダの時代にインド北部で広く実践されて、苦しみから解放され、あらゆる分野で高い成果を収めました。その後、この技法はミャンマー(ビルマ)、スリランカ、タイなどの隣接する国々に広まり、多大な恩恵がありました。しかし、ブッダの死から5世紀後に、インドではヴィパッサナーの伝統が途絶えました。ほかの国々でも、次第にこの教えの純粋さが失われていきました。一方、ミャンマーでは、献身的な師範たちの系譜が連綿と続いて守られました。2,000年以上にわたって純粋な形でその技法が伝えられました。多くの人びとから尊敬されるレディ・サヤドー氏は、僧侶だけに伝えられてきたこの技法を、一般の人びとにも広めて、在家者であるサヤ・テッジー氏へと伝授しました。さらに、サヤ・テッジー氏からサヤジ・ウ・バ・キン氏に受け継がれて、その教えは現代へと引き継がれています。現代においては、S.N.ゴエンカ氏によって再びインドに戻り、そこからさらに80以上の国々に広まりました。ゴエンカ氏は、ミャンマーの著名な師であるサヤジ・ウ・バ・キン氏から正式に指導の許可を得ています。サヤジ氏は1971年の逝去直前に、ヴィパッサナーが、その発祥の地であるインドに戻り、多くの問題を抱えるインドを助け、さらに世界中へと広まって人類全体に貢献するという大きな願いが叶っていく様子を見届けました。全世界に広がり、人類全体の恩恵になるよう強く願っていました。 かつて、インドは「世界の教師」とも呼ばれていましたが、現代においても再び真理の「ガンジス川」が、渇望する世界へと流れ続けているのです。

伝統

 ブッダの時代から今日に至るまで、ヴィパッサナーは途切れることなく師から師へと伝承されてきました。この継承の流れを代表する現代の指導者が、S.N.ゴエンカ氏です。ゴエンカ氏はインド系の出自で、生まれ育ちはミャンマーです。当時、ミャンマーで政府官僚だったサヤジ・ウ・バ・キン氏からヴィパッサナーを学ぶ機会に恵まれました。師のもとで14年間修行を積んだ後、インドに移住し、1969年からヴィパッサナーの指導を始めて、その後、世界各地でいろいろな人種・宗教の何万人もの人びとにその技法を教え続けました。1982年には世界規模で高まる需要に応えるため、アシスタント指導者を数多く任命し、さらなる普及を進めました。

ヴィパッサナー瞑想の実践

 

 ヴィパッサナー瞑想の実践は、普遍的な自然の法則であるダンマに従うことにあります。これはシーラ(道徳律)、サマーディ(集中)、そしてパンニャ(智慧)という三つの柱に大別される八つの聖なる道を歩むことを含みます。


 ヴィパッサナーを学ぶには、資格を持った指導者のもとで、10日間の合宿コースに参加する必要があります。このコースは、ヴィパッサナー瞑想センターやほかの場所で開催されています。コース中、参加者は会場内に滞在し、外界との接触を絶ちます。また、読書や筆記、宗教的な実践やほかの瞑想法などを一時停止します。規定された戒律に従い、ほかの参加者との交流を避け「聖なる沈黙」を守ります。ただし、アシスタント指導者には、瞑想に関する質問や生活面に関することなど相談できます。

この修行には、三つのステップがあります

 第一に、参加者はシーラを実践し、精神に害を及ぼす行為を控えます。「殺生」「盗み」「不適切な性的行為」「嘘をつくこと」「お酒や薬物など」を控え、この5つの道徳律を守ることで、心が十分に落ち着くと、次のステップに進むことができるようになります。

​ 第二に、最初の三日半はアーナーパーナ瞑想を実践し、呼吸に意識を集中します。これはサマーディを高め、不安定な心を制御するために役立ちます。この最初の2つのステップ、つまり善行を行い、心を制御することは非常に有益ですが、最後のステップを実践しなければ、完全なものになりません。それは心を根本的な汚れから浄化することです。

​ 第三のステップとして、残りの六日半はヴィパッサナー瞑想を実践します。参加者はパンニャーをもって自らの身体と精神の構造全体を貫きます。

 参加者は、毎日、この体系的な瞑想法について、録音されたS.N.ゴエンカ氏の講話を聞きます。9日間は完全な沈黙が守られますが、10日目には聖なる沈黙が解除され、会話をすることができ、日常生活へ戻る準備を行います。そして、11日目の朝にコースは終了します。合宿の締めくくりに、コース中に育まれた純粋さを、すべての生きとし生ける存在と分かち合う瞑想、メッターバーヴァナー(慈しみの瞑想)を行います。


コースについて
 

 ヴィパッサナー瞑想を学びたい方は、資格を持つ指導者のもとで10日間のコースを受講します。コース期間中は、「殺生をしない」「盗みをしない」「性的な不品行をしない」「嘘をつかない」「お酒や薬物を摂取しない」の5つの道徳律を守ります。コースの期間中、参加者はセンター内に滞在します。毎日、午前4時30分に始まり午後9時まで続き、少なくとも10時間の瞑想を目指します(休憩を含む)。
 最初の3日間は、呼吸を観察することで心の集中を高めます(アーナーパーナ瞑想)。その後に、身体で感じるさまざまな感覚に対する気づきと平静さを育て、身体と心の全体への洞察の明晰さを育む方法(ヴィパッサナー瞑想)を行います。
 毎日の進捗は、夜の1時間の講話の中で説明されます。コースの最終日に、メッターバーヴァナーの実践があり、コースを通じて育まれた清らかさを、すべての生きとし生けるものと分かち合います。

​ コース中は、心の制御と浄化が最優先とされ、そのことについてありのままに話すことは許されますが、哲学的または思索的な議論は控えます。
 

 コースの受講には、一切費用はかかりません。宿泊や食事、そのほかの軽微な費用は、過去にコースに参加して、ヴィパッサナーの恩恵を受けた参加者の、感謝の気持ちによる寄付で賄われており、「ほかの人びとにも同じ体験をしてもらいたい」という願いから支援されます。コースを終えて、恩恵を感じ、ほかの人びとにもヴィパッサナーの実践から恩恵を得てもらうために、将来のコースに対して寄付をすることができます。
 コースを受講で得た恩恵は、その人自身のパーラミー(過去に積まれた功徳)と、五つの努力の要素 — 信仰、健康、誠実さ、エネルギー、智慧 — の働きに依存します。

非宗派的な技法

 

 ヴィパッサナー瞑想は、心を浄化し最高の「気づき」の境地へ導く実践です。具体的には、心と物質の現象をありのままの姿で完全に認識し、観察することを目的としています。もともとブッダは、出生から死に至るまでの苦しみや悲しみの連鎖を断つために、さまざまな苦行や精神修養を試しましたが、それでは真の解放には至らないと気づき、ヴィパッサナーに取り組みました。この技法は、ミャンマーで2,200年を超えて純粋さを保ち続けており、非常に貴重な伝統とされています。

 ヴィパッサナー瞑想は、超常的あるいは神秘的な力を追い求めるものではありません。それによって何らかの神秘的体験が得られたとしても、“魔法”のような現象が起こるわけではないのです。ヴィパッサナーによる浄化のプロセスとは、単に否定的な感情やコンプレックス、渇望、習慣を取り除き、純粋な意識を曇らせてきた障害を消し去るものです。人類の最も高い資質であるメッター(慈愛)、カルナー(思いやり)、ムディター(喜びの共感)、そしてウペッカー(平静)の流れを妨げるものを取り除きます。

 この瞑想法は一切神秘主義ではありません。ヴィパッサナーは心理学を超えた心の科学であり、単に理解するだけでなく、心のプロセスを浄化するものです。この実践は日常生活における技術でもあり — 家庭レベルから国際政治に至るまで — あらゆる人間関係から、渇望、怒り、無知を減少させ、最終的にはそれらを排除する効果をもたらします。ヴィパッサナーは空想や幻想、表面的な「真実の蜃気楼」に終止符を打ち、心に現実を引き戻します。その過程は、熱したストーブに冷水を投げかけたような衝撃的な痛みを伴うことがあります。一方で、長い間、無意識の深層で支配していた緊張やコンプレックスからの深い解放をもたらします。ヴィパッサナーの実践は、人種やカースト、宗教を超えており、誰にでも開かれています。怒りや緊張、恐怖を擦りこむ心の傾向を、誰でも最終的には排除することができます。修行中、参加者は唯一の課題 — 自らの無知との闘い — に集中します。「自らの無知との闘い」が唯一の課題となるため、師への崇拝や修行者同士の競争はありません。コースの指導者は、長年の実践により確かめた道を示す「親友」のような存在です。継続的な実践を続けることで、瞑想は心を静め、集中力を高め、鋭い気づきを育み「ニッバーナの平和(一切の苦しみからの解放)」の崇高な意識の扉を開く鍵となります。

現代の世界の環境

 

 科学技術、交通、通信、農業、医学の分野の発展は、物質的に人間の生活を一変させました。しかし、実際にはこの進歩は表面的なものであり、現代人は、先進国や裕福な国々でさえも、深刻な精神的・感情的ストレスの中で暮らしています。
 

 人種、民族、宗派、カーストの偏見から生じる問題や対立は、あらゆる国の人びとに影響を及ぼしています。貧困、戦争、大量破壊兵器、疾病、薬物依存、テロの脅威、疫病、環境破壊、道徳的価値の低下・・・これらすべてが、文明の未来に暗い影を落としています。日々の新聞の一面を眺めるだけで、この惑星に住む人びとが直面する大変な苦しみと深い絶望を思い起こします。
 

 一見すると解決が難しそうなこれらの問題について、果たして解決策はあるのでしょうか? 答えは、間違いなく「はい」です。いま世界中で確実に変革の風が吹いています。人はどこでも平和と調和を築き、健全な人間性への信頼を取り戻し、社会的、宗教的、経済的なあらゆる搾取からの自由と安全を求めています。ヴィパッサナーはそのような解決策のひとつとなり得るのです。

ヴィパッサナーと社会変革

 

 ヴィパッサナーの技法は、あらゆる苦しみから解放する道です。この実践によって、私たちの苦しみの原因である渇望、嫌悪、無知が取り除かれます。修行を重ねることで、人は少しずつ苦しみの根本原因を取り除き、過去の緊張や迷いの暗闇から抜け出して、幸せで健康的、かつ充実した人生を送ることができるようになります。それは多くの実例によって証明されています。

 

 インドの刑務所で、いくつかの実験が行われてきました。1975年、S. N. ゴエンカはインドの刑務所で史上初となる、ジャイプール中央刑務所で、囚人120人を対象にコースを実施しました。このコースに続き、1976年、ジャイプールの政府警察アカデミーで、上級警察官を対象としたコースが行われました。1977年、再びジャイプール中央刑務所でコースが開催されました。これらのコースは、ラジャスタン大学による社会学的研究の対象になりました。1990年にもジャイプール中央刑務所で終身刑囚40人と刑務官10人が参加したコースが行われ、非常によい結果となりました。
 

 1991年、アフマダーバードのサバルマティ中央刑務所で終身刑囚を対象としたコースが実施され、グジャラート・ビディヤピートの教育部門による研究プロジェクトの対象となりました。

 ラジャスタン州およびグジャラート州の研究結果は、参加者の態度、行動について、確実にポジティブな変化があったことを示し、ヴィパッサナーが犯罪者を健全な社会の一員へと変革するための有効な改革手段であることを示しました。

 1995年には、ティハール刑務所で囚人1000人を対象とした大規模なコースが行われ、広範な影響を与えました。ヴィパッサナーはインド最大の刑務所で、刑務所改革の技法として採用されました。囚人の精神的健康に与える影響を評価するために行われた科学研究の詳細な報告書は、ヴィパッサナーが犯罪者をよりよい人間に変える力があることを証明しています。
 

 S. N. ゴエンカの瞑想指導者であるサヤジ・ウ・バ・キン氏が、公務員としてのキャリアの中で行なったヴィパッサナーは、政府の行政の中で変革的な効果があった例の一つでした。サヤジ氏は、政府内のいくつか部署の長を務め、その中でヴィパッサナー瞑想を教え、部下に高い責任感、規律、道徳心を育みました。その結果、効率が飛躍的に向上して、腐敗が排除されました。同様に、ラジャスタン州政府の内務省では、主要な数人の官僚がヴィパッサナーコースの受講後に、意思決定や案件の処理が迅速化し、職員間の関係が改善しました。政府内におけるヴィパッサナーについての詳細はこちらをご覧ください。
 

 ヴィパッサナー研究所では、ほかにも健康、教育、薬物依存、政府、刑務所、ビジネス管理などの分野において、ヴィパッサナーのポジティブな影響に関する例を文書化しています。VRIが公開している研究報告書についてはこちらをご覧ください。
 

 これらの実験は、社会変革は個人から始まるべきと強調しています。社会変革は単なる説教によってもたらされるものではありません。規律や美徳を教えるには、教科書の講義だけでは不十分です。犯罪者が罰の恐怖によってよい市民になることはありませんし、カーストや宗派間の対立も、懲罰的手段による排除はできません。歴史を見れば、そのような試みの失敗例で満ちています。
 

 個人こそが鍵です。人は慈愛と思いやりをもって接されるべきであり、外側から道徳を押しつけるのではなく、内側から「変わりたい」という意欲を呼び覚ますことが大切です。そのためには自分自身を探究し、心を浄化するプロセスへと導く必要があります。こうした変化こそが、長続きする唯一のものです。

 ヴィパッサナー瞑想には、人間の心と人格を変える力があります。誠実に取り組もうと願うすべての人に、開かれた機会なのです。

 ヴィパッサナーが社会にもたらす影響について、詳細はこちらをご覧ください。

​初心者向けの紹介動画(英語)
 ヴィパッサナー瞑想の古来からの技法とその非宗派的な特徴や恩恵をまだご存じない方へ向けの、紹介ビデオです。(約20分)

ヴィパッサナー瞑想とは何か?

主任指導者であるS.N.ゴエンカ氏が、ヴィパッサナー瞑想とは何か、またその多様な側面について説明しています。

ヴィパッサナー瞑想 心と物質の科学

S. N. ゴエンカ氏が、ヴィパッサナー瞑想を心と物質の科学として紹介し、その普遍性や非宗派的な特質、さらに社会における意義について説明しています。

ヴィパッサナー瞑想  生きる技法

 ヴィパッサナー瞑想の歴史的背景、コースの構造、そして参加者たちの体験談が紹介されています。また、ゴエンカ氏による講話も収録されており、ヴィパッサナー瞑想とは何か、本人の人生についての講話、さらに質疑応答も収録されています。

そのほかの紹介ビデオをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。

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